くみこ院長ブログ情報

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久米島アレルギーの旅 視察旅行

2012年06月18日




食物アレルギーのお子さんをお持ちのご家族の悩みの一つに、”旅行が安心して出来ない。”というものがあります。

夏休みが終わって受診されると、かならず

“実はね、先生、この前** に行って、**で食事をしたら、咳が出だして、じんましんが出て云々”という話を必ず聞きます。日帰りなどだったらお弁当を持っていくということも出来ますが、3日、4日ということになると、なかなか持っていける食材にも限りがあります。

 

久米島というのは、沖縄本島の西にある離島です。その島の皆さんが、食物アレルギーを持った子供の医療面、食事面を含めて旅行にこられる事を歓迎してくれているのです。島内には3つのリゾートホテルがありますが、すべてのホテルで卵、牛乳、大豆、小麦など10品目を除去したアレルギー食を提供してくれます。もちろん、朝昼晩3食すべてです。

 

今回私は、NPO法人ぴいちゃんねっとの理事長として参加してきました。毎回食事はアレルギー対応食を食べ。町長や、久米島観光協会の方たち、公立久米島病院の院長とのヒアリング、ホテルの料理長からのアレルギー食を提供することに対しての、工夫や苦労話を聞くことが出来ました。

 

わざわざ沖縄の離島に、病気の子供を呼ぶというやっかいな事をするなんて、という反対意見も始めはあったようですが、この旅行に関わるすべての方達の、”食物アレルギーがあっても普通の子達と同じ様に沖縄の海で泳いで、楽しい思い出を作ってほしい。”という共通の思いからこの事業がなりたっているのだと感じました。

 

平良町長が、”子供が、ず〜っと二時間くらい座って海を見てるんだよ。これに僕は感動して、この事業を成功させて必ず継続させようと思ったよ。”と涙ながらに語っていただいた偽りのない言葉がこの事業のすべてを表していると感じ、平良町長につられて私たちにも涙ぐんでしまいました。

 

このような熱い思いでアレルギーの子供達を受け入れてくれるところは、多分今のところ日本中で、いや世界でも久米島だけではないかと思います。

 

アレルゲン除去の食事を提供するのはもちろんですが、予期せぬ誤食がおこった場合も、ホテル内のスタッフは研修を受けており、マニュアルに従って救急車を呼んで対応をすみやかにしていただけます。もちろん、消防や救急搬送先の久米島病院は24時間態勢で、今どんなアレルギーの子供が滞在しているかを把握してくれているのです。これには、アレルギーの旅の選任コンシェルジュの存在が大きな意味を持っています。家族が滞在するホテルのそれぞれに連絡をする必要はなく、窓口をコンシェルジュ一本にしぼる事で、島内での連携をスムーズにする事が出来ます。その為には3週間前までに予約するという事がルールとなっています。

 

除去品目の個別対応は今のところ、安全第一をモットーにされているので、行っていませんが、キッズプレートの提供や、希望をすれば親は通常メニューを食べる事も出来ます。調味料は製造ラインも考慮にいれられたアレルギー専用調味料をすべてのホテルで使用し、調理スタッフと調理場、調理の時間も一般の食事とは別になっています。ここまで徹底して作られている事で、4年経った今でも混入などの事故はなく、アナフィラキシーで搬送された事例もないとの事です。これは本当にすばらしい取り組みだと思いますし、京都を始め全国のホテルや旅館も学ぶところがたくさんあると切実に思いました。

概して、一般のホテルや旅館は、自分たちがアレルギー対応できていると考えておられるところが多いのですが、実際のところ調理スタッフの中には調味料の原材料までは把握していない方達もたくさんおられますし、そういう所から事故が起こるのです。

 

よく私が講習会でお話しする事例の、”グルテンが小麦からできているということを知らないパン屋さんが、グルテン入りのパンを米パンとして売っており、アナフィラキシーを起こした”ということからも推測されます。

 

今回、クリニックをお休みにしてご迷惑をおかけしましたが、今回の視察でアレルギーの子供達がいかにして一般社会で最大限の能力を発揮していけるか、をテーマにして行こうと志を新たにする事が出来ました。

 

旅行について、行ってみたいなと思われる方はお気軽に私に相談ください。メニューやホテルの事などわかる範囲で体験してきた事をお話しさせていただきます。

 http://www.kumejima-qol.com/02.html

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