くみこ院長ブログ情報

くみこ院長ブログ情報

本当に魚アレルギー?

2010年09月21日

朝晩涼しくなってきました。と同時に、ちらほら咳を始める子供達も多いのではないでしょうか?空気も乾いてくる季節ですので、早めにマスクを子供達につけてあげてください。

秋の訪れと同時に、食べ物がおいしくなってきます。その中でも特に、魚に脂がのって、おいしくなってきました。特に、魚の脂はアレルギーを抑える作用もあるといわれています。ここ50年でアレルギー疾患が増えてきたのはなぜか?というのはいつも学会で議論される話題ですが、原因の一つに、魚の摂取量の低下、肉などの動物タンパク質の摂取の増加があげられます。なので、アレルギーっ子には魚を食べさせた方が良いということになるのですが、魚アレルギーの場合はどうしたら良いのでしょうか?

魚を食べてじんましんが起こると、”魚アレルギー”と診断されますが、同じ種類の魚を昨日食べて起こったが今日食べたら大丈夫だったということもよくあります。勿論、アレルギーは体調にも左右されますが、その魚の鮮度、調理法などによっても変わります。その理由は、魚に含まれるヒスチジンというアミノ酸が、魚についた微生物でヒスタミンに変わります。体がヒスタミンを作ってアレルギーを起こすのではなく、外からヒスタミンが入ってアレルギーに似た症状を起こすので、アレルギー様反応(仮性アレルギー)と呼んで区別します。

ヒスチジンを多く含む魚は、サバ、サンマ、カツオ、イワシ、カジキ、マグロなどの赤身の魚です。ヒスタミンは加熱しても安定ですので、調理品でも危険です。古い魚を食べると、魚に対してアレルギーがない人にも起こりうるのです。ですから、干物、塩漬けの魚でヒスタミンが増えた増えた魚では反応が起こり、新鮮な魚では大丈夫という事もあり得ます。

他にアニサキスアレルギーというのもあります。
アニサキスは魚の寄生虫です。アニサキスが寄生した魚を食べると、胃で暴れ、腹痛の原因になります。これをアニサキス症と言って、アキサキスを内視鏡で取らないといけないので大変です。勿論、魚を加熱すればアニサキスも死にますが、死んだアニサキスはアレルギー反応を起こす力があるので、じんましんなどの症状を引き起こすことがあります。アニサキスは魚の胃袋におり、魚が死ぬと胃袋から魚の筋肉に出てくるので、それをアニサキスアレルギーの人が摂取すると、アレルギー反応が起こります。胃袋など内蔵を新鮮なうちに取り除いたのものは、アニサキスアレルギーが起こりにくいと言えます。

アニサキスアレルギーを診断するには、血液検査で、アニサキスに対するIgEを測定します。陽性ならアニサキスアレルギーの可能性が高いです。

このように、アレルギー様反応やアニサキスアレルギーではなくて、魚アレルギーと診断された場合、治療はどうしたらいいのでしょうか?何よりの予防は、原因となる魚を食べないことが一番です。

そのためには、自分が食べられる魚と食べられない魚とを把握して区別する必要があるのですが、魚のアレルゲンは、パルブアルブミンと言って、複数の魚でアレルギーを起こすことがあるので、なかなか分けることは困難です。しかし、パルブアルブミンは水溶性で圧力をかけて煮ると、煮汁に出て行ってしまうので、安全に食べられる可能性があるのが、水煮タイプの「ツナ缶詰」です。缶詰でなくても、10分間圧力鍋で加熱すれば、かなりのパルブアルブミンが抜けるという報告もあります。勿論、煮汁は捨てて食べてください。

しかし、中には、「マグロの缶詰」でアナフィラキシーを起こした例をあるので、注意は必要です。魚を除去していて新たに試す時は、必ず病院で血液検査を受け、その結果を踏まえ、食物負荷検査という形で食べさせてください。以前にじんましんを起こして”魚アレルギー”とされている人達の中には、調理法を工夫する事で食べられるようになる場合も少なからずあるのです。

TOP